今回は昨年の9月から10月にかけて沿線を歩いた東急線全8路線についてまとめていきたいと思います。
目次
東急電鉄について
東急電鉄は東京都南西部から神奈川県東部にかけて鉄道王国を築いている私鉄の雄です。東急電鉄の特徴としては鉄道事業以外に不動産事業にも注力していて二子玉川駅やたまプラーザ駅といった例があるように街を開発していくことに長けた会社です。イメージ戦略も得意で自由が丘駅、代官山駅、中目黒駅を有する東横線、二子玉川駅、三軒茶屋駅、たまプラーザ駅を有する田園都市線など沿線はおしゃれなイメージがついていて東急ブランドを確立しています。そんな華やかなイメージばかりが先行していますが、世田谷線や東急多摩川線といった地域と密接な関係にあって、ある意味地味で実直な路線も持っているという、相反する路線を運営できているところが華やかだけでないこの会社の本当の強みかなと思います。会社の規模を売上高という指標で見ると、関東ではJR東日本に次ぐ第2位、全国で見ても第5位という非常に規模の大きな会社です。
東急電鉄の歴史
東急電鉄は日本資本主義の父と言われる渋沢栄一が理想的な住宅地開発を目的として創設した田園都市株式会社の鉄道事業がその始まりとなりました。当初鉄道事業は目黒蒲田電鉄という子会社が担っていて、この会社に鉄道官僚の五島慶太を招聘したことで急速に成長をしていくことになります。はじめに目蒲線(目黒駅~蒲田駅,現在の目黒線と東急多摩川線の前身)を開業したことを皮切りに、五島が以前から経営に携わっていた東京横浜電鉄(東横線の前身)の開業にも着手しました。その後、目黒蒲田電鉄が池上電気鉄道を買収、東京横浜電鉄は玉川電気鉄道を買収、そして目黒蒲田電鉄と東京横浜電鉄が合併し、新たに東京横浜電鉄として開業し規模を徐々に拡大していきます。その後、小田急電鉄、京浜電気軌道と合併し、東京急行電鉄と名を改め、さらには京王電気軌道と合併し、東京都から神奈川県の西部・南部まで鉄道網を広げる大東急を形成するようになりました。しかし、敗戦後の独禁法制定により小田急や京急、京王を分離させることになり東急の規模は小さくなります。その後東急は多摩田園都市地区への開発戦略に舵を切ることになり、1953年の構想から1984年の田園都市線つきみ野駅~中央林間駅の延伸まで30年の時を経て開発を完了させることに成功し、現在は大東急の規模には及ばないまでも東京都南西部から神奈川県東部に鉄道王国を築くに至っています。
東急線沿線歩きの詳細(リンク)
著作権者:ButuCCさん、ライセンス:CC by-sa 3.0、
東急線8路線図
今まで歩いてきた8路線の詳細記事のリンクを簡単な紹介文と共に↓に貼りました。
第1弾 東横線・みなとみらい線編
東急電鉄二大看板路線の一つ。東急を代表するような華やかな駅が多くあります。
第2弾 田園都市線編
東急電鉄二大看板路線の一つ。不動産事業が得意な東急らしく、開発された駅が多い路線です。
第3弾 こどもの国線編
東急電鉄の中で唯一都内を走行しない路線。8路線の中でも突き抜けて落ち着いた路線です(商業施設がかなり少ないです)。
第4弾 東急多摩川線編
多摩川に沿って大田区内を走行する路線。落ち着いた街並みの駅が多いです。
第5弾 池上線編
大きな通りに沿って走行する路線で沿線は住宅街や商店街が多数形成されています。本門寺や洗足池など見所もあります。
第6弾 世田谷線編
都内で二つしかない珍しい軌道線の一つ。沿線は世田谷区内を走行し、落ち着いた街並みが多いです。当路線の三軒茶屋駅付近は近年飲食店街として注目されているようです。
第7弾 目黒線編
東横線と並走する区間のある路線です。駅舎は新しいものが多く、デザインに凝ったものもあり、シンプルな駅の多い東急の他路線とは様子が異なります。
第8弾 大井町線
田園都市線と並走する区間を有する路線。東急電鉄の他路線の多くと接続する補助路線的側面があります。沿線景色は住宅街、商店街が広がっています。
東急線ランキング集
実際に歩いてみて感じた様々なことをランキングにしてみました。完全に個人の感想になります。
達成度ランキング
1位:田園都市線
長距離・長時間の歩き旅で起伏も多く、ゴールした瞬間は一番達成感がありました。
2位:東横線・みなとみらい線
田園都市線に次ぐ距離だったのと菊名駅周辺の起伏にかなり体力を奪われ大変でした。その難易度に比例して達成感はありました。
3位:池上線
起伏が意外とある路線で距離の割にはハードだった印象です。まあ、前日に田園都市線を歩いて、池上線の前にも2路線歩いていたから疲労が蓄積していたのもあって達成感が増したのかもしれませんが。
起伏ランキング
1位:田園都市線
渋谷駅~溝の口駅間は気になりませんが、溝の口駅より奥は起伏が増えて急勾配もいくつかありました。
2位:東横線・みなとみらい線
起伏は点在していましたが、特に厳しかったのが菊名駅周辺です。後半戦で体力をかなり消費していたので本当に辛かったです。
3位:池上線
目黒線、大井町線と悩みましたが一番苦しめられたイメージが強かったので3位としました。特に石川台駅周辺が急勾配でした。
華やか路線ランキング
1位:東横線・みなとみらい線
渋谷駅や武蔵小杉駅、横浜駅などの交通の要衝に加えて、代官山駅や自由が丘駅、中目黒駅などおしゃれスポットも有していてバリエーション豊かな当路線が1位です。
2位:田園都市線
たまプラーザ駅やあざみ野駅、溝の口駅など通勤客が多く利用する駅や商業、住宅街で再開発の進んでいる二子玉川駅などは華やかですが、おしゃれスポットの多い東横線の眩しさには少し劣る気がします。
3位:目黒線
新しい駅舎の駅が多く、駅前に大きなマンションもある上に、沿線も集合住宅が多いです。東急線の中でも華やかさで上位に位置する路線です。
閑静な路線ランキング
1位:こどもの国線
断トツでした。駅前に商業施設はほとんどなく住宅街の中を歩いていきます。途中畑だらけになる区間もありました。
2位:世田谷線
東急多摩川線といい勝負をしていましたが、駅前にいる人数を比較したらこちらのほうが少ないように感じたので2位としました。
3位:東急多摩川線
のどかな沿線風景が広がっていて、東急線のイメージらしからぬ雰囲気でした。駅前の活気で比較すると世田谷線より賑わいがあるように感じました。
景色ランキング
1位:東横線・みなとみらい線
田園調布の高台から線路を挟んで反対側を見下ろした景色や丸子橋から武蔵小杉方面を見ると良い景色でした。
2位:田園都市線
様々な景色があるので見ていて飽きないです。鶴見川周辺や藤が丘駅周辺の線路の上の橋から見た景色がきれいだったかなと思います。
3位:大井町線
二子玉川公園や東京工業大学にある富士見坂、そして大学自体など天気が良ければ景色を楽しむことができると思います(全体で見ると住宅が多くバリエーションが少ないのはきついですが…)。
立派な駅舎・駅前ランキング
1位:渋谷駅
渋谷の地下に大規模な駅を形成しています。デザインも凝っていてさすが"東急線二大看板路線の始点となる駅"という雰囲気が漂っています。
2位:たまプラーザ駅
空港のような駅舎をした派手な駅です。個人的にこういう雰囲気の駅が好きなので高い評価をつけました。
3位:二子玉川駅
東急グループが開発に注力している駅なだけあって立派な駅になっています。二子玉川ライズまで含めれば2位以上なのですが、駅舎という点で見れば、たまプラーザ駅に軍配が上がるかなと思っています。
4位:大岡山駅
ファーストインパクトの大きな駅だったのでランクインさせました。実際は病院なのですが、駅と直結しているので駅舎という評価に含めました。
5位:戸越銀座駅
規模としては小さいですが、特徴的な駅舎だったのでランクインさせました。グッドデザイン賞ですし。駅前に大規模な商店街が広がっているのも評価に含めました。
※本来は武蔵小杉駅や目黒駅、横浜駅がランクインするかと思いますが、駅舎の特別さを重視して↑のランキングとしました。
気になった建物ランキング
1位:ザ・パークハウス二子玉川ガーデン(田園都市線)
二子玉川駅へ向かって歩いているときに見つけたマンション。立派な
外見で気になってネットで内装を見たらこれまた立派。1週間とか期間限定でいいから住んでみたいと思いました。
2位:KASHIYAMA DAIKANYAMA(東横線・みなとみらい線)
おしゃれな街代官山の中でも際立って目についた建物でした。複合商業施設のようです。今度正装して訪れようと思います。
3位:慶応義塾大学日吉キャンパス(東横線・みなとみらい線)
有名な慶應義塾大学の主に理系学生が通うキャンパスです。周囲の建物に比べ明らかに立派な装いです。
4位:キングホームズ代官山(東横線・みなとみらい線)
中目黒駅に向かって坂を下っているときに見つけた高級賃貸マンション。外見からセレブ感があふれていて、後で調べたら庭園やプールまであることを知りました。自分の住んでいる世界と格の違いを思い知りました。
5位:田園ステーションテラス(田園都市線)
梶ヶ谷駅前にあるマンション。色使いとか横に長く作られていたのが印象に残りました。線路を見下ろせて、電車好きの人には好立地ではないでしょうか。
東急線沿線歩き写真集
沿線を歩いてみて良かったなと思う写真をコメントもなくひたすら貼っていきます。
第1弾 東横線・みなとみらい線編
第2弾 田園都市線編
第3弾 こどもの国線編
第4弾 東急多摩川線編
第5弾 池上線編
第6弾 世田谷線編
第7弾 目黒線編
第8弾 大井町線
総括
今回は東急電鉄の8路線の沿線歩き旅をまとめてみました。沿線歩き旅の観点で言えば東急線は比較的距離の短い路線が多いので、初心者でも挑戦しやすい良い路線が多いかなという印象です。興味を持たれた方はぜひ挑戦してみてください(新型コロナウイルスが落ち着いたら)。実際に歩いてみると私の場合は東急電鉄への印象が変わりました。東急という名前はおしゃれ、洗練された都市といった華やかなイメージがありました。実際、一部の駅ではそのイメージに見合った街並みをしていて流石東急だなと思うところもあったのですが、そんな駅は全体で見るとほんの一部で実際は地域社会に根付いた路線・駅が大半を占めていました。駅前には大きな商業ビルがなかったり、住宅しかない駅があったり、商店街が広がっていて多くの方が利用されていたり、生活感にあふれた駅を見て東急電鉄に対して自分が持っていたイメージを良い意味で裏切られました(勝手にパリピ御用達路線だと思っていました、大変失礼いたしました)。外から人を集めて満足させる華やかな部分と地域の人の足となって満足させる実直な部分を併せ持つからこそ私鉄の中でも成功していて現在の繁栄があるのだなと感じさせられました。おそらく普段から東急線を利用して実像を知っていれば当たり前のことなんでしょうけど、田舎者なので沿線歩きをしてみて初めて気が付くことができました。こういうところも沿線歩きの魅力ですね。
以上が鉄道沿線歩き旅第0弾の”東急線総集編”でした。SNSを始める前からやっていたものなので第0弾という名前にしています。ご覧いただきありがとうございました。書いた内容に間違いがあればコメントでご指摘いただければと思います。